『フットボリスタ主義』(木村浩嗣 著)

footballista』の巻頭コラムが本になっていたので読んでみた。


とても面白い。
これはサッカーのコラムというより、人生のコラムだ。
この本にはきれいごとが書いてないからいい。
生きるってのは当たり前だけど大変だ。
もがき苦しみ傷ついて、浮かれ喜び打ちのめされ、怒り怒鳴りながら生きて来た人の生き様と感性と審美眼がフットボールメディアという媒体に描かれている。
現実的で透徹した目を持ちながら体温高く生きている人だと思う。
ここには感情があり、愛があり、サッカーがある。


(以下本書とは関係のない独り言)
感情を持たない人間は、人がどうであれ関係ない。
基本的に自分のことしか興味がないし、他人がどうなろうと知ったこっちゃないと思っている。
そういう人間は、男に裏切られ自殺未遂をした女が睡眠薬を吐いたあとで電話してきても用事があるからと言って他の女と飲みにいくし、昔お世話になった人が亡くなった時も女といつものように遊ぶ。
(以上終了)

ジューレン・ゲレーロのことが書いてあったが嬉しかった。
僕が98年にリーガを見始めて、これは天才だ、と思ったプレイヤーだ。
でも1年くらいでベンチに消えてしまっていた。
なぜだろう?と不思議に思っていたが、この本にそれについて書かれてあった。
検索かけたらこんな動画があった。

http://youtu.be/HrnLFSuBeac
マドリーにもビルバオにも懐かしい顔がたくさん。


「ロッカールームにテレビカメラを入れるな!」
にはマスメディアの嘘臭さが見事に書かれてある。
日本テレビだけじゃないけどね。
「感動」は「売り物」じゃないから。
「感動」を「売り物」にしているスポーツ番組は全滅した方がいいと心から思う。


「恋愛もサッカーも魅力は攻撃でしょ?」
には同意して笑えたが、ボールは持っていてもどう攻めていいか分からずにふらふらと横パスしてしまうことが多い僕には痛いところもあった。
しかしなんで女好きってのは魅力的な人が多いんだろうね?(@かつ社長)


「嘘は悪だが必要。クラシコ両監督の場合」
モウリーニョとペップのその違い。
モウリーニョはプレスに対しては正直だ。
ペップは嫌らしい。嫌らしいのは隠しているからだ。心の中を。
で、どちらの姿勢が正しいと思いますか?と言われたら。
分かりません。
どっちも好きじゃない。


そしてリージョ。
ペップの師匠のリージョ。
あれは変態の師匠だけあって言ってることが哲学的で文学的でサッカーの指導者とは思えません。


よく読んだらこれ読んだことあった、という記事が多かった。
footballista』ここ数年で雑誌が地方のコンビニでも買えるようになってありがたいね。
以前はネット購読しかできなかったからね。


久しぶりに『footballista』のWebサイト覗いたら前よりもアクなくなってちょっとつまらなかった。
以前の方がわけわからない感があって好きだったなー。
もっと人生と同じで混沌とさせてほしいっす。
できれば木村編集賞のイラストをもう一度大きく載せてほしいっす。